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セキュリティ・弱点

相談フォームに書かれた内容はどこを通る?士業事務所が守秘の不安をなくす確認ポイント

公開 2026年10月23日 約6分で読めます

事務所のホームページの「無料相談はこちら」。相談者の方は、相続のこと、会社の労務トラブル、在留資格の不安など、人に言いにくい事情をそこに書き込みます。守秘義務のある仕事をしている以上、その内容が送信の途中やどこかの保管場所で人目に触れることは避けたいはずです。けれど、フォームに書かれた文章が実際にどこを通って、どこに残っているのかを把握している事務所は多くありません。この記事では、その通り道を一緒にたどりながら、確かめるポイントを整理します。

相談フォームの文章がたどる「4つの場所」

相談者の方が送信ボタンを押してから、所長や事務員さんがその内容を読むまでに、文章はいくつかの場所を通ります。仕組みは事務所ごとに違いますが、多くの場合は次の4つです。

  1. 相談者の方の画面からホームページへインターネットを通って、事務所のホームページが置かれたサーバーに届きます。ここで通信が暗号化されているかどうかが、アドレス欄の鍵マークで分かります。
  2. サーバーの中フォームの仕組みによっては、送られた内容がサーバーの中に控えとして保存されます。WordPressの追加部品で作ったフォームでは、管理画面に一覧が残る設定になっていることがあります。
  3. サーバーから事務所のメールへ内容がメールに変換されて、事務所の受付用アドレスに送られます。送信先が誰のアドレスか、何人に届くかで、目にする人の範囲が決まります。
  4. 事務所のパソコン・スマートフォン受け取ったメールは、事務所のパソコンや所長のスマートフォンに残ります。転送設定があれば、さらに別のアドレスにも届いています。

守秘の観点で大切なのは、それぞれの場所で「誰が読める状態か」を把握することです。送信の途中は暗号化されていても、サーバーの中に何年分もの相談内容が残っていたり、退職した事務員さんのアドレスに転送が続いていたりすると、思わぬところに相談内容が残り続けます。

相談フォームの内容は、相談者の画面、ホームページのサーバー、事務所の受付メール、事務所のパソコンやスマートフォンの4つの場所を順に通り、それぞれの場所で鍵マーク、控えの保存、送信先、転送設定を確かめる必要があることを示す図
相談内容は4つの場所を通る。場所ごとに確かめる点が違う

たとえば、所長がスマートフォンで受付メールを読めるように設定していると、そのスマートフォンをなくしたときに相談内容が見られてしまうおそれがあります。画面のロックや、なくしたときに遠くから消せる設定をしておくことも、相談フォームの守りの一部です。事務所のパソコンも同様に、共有のパソコンで受付メールを開きっぱなしにしない、席を離れるときは画面を閉じる、といった小さな習慣が積み重なって守秘につながります。

確認ポイント1:アドレス欄の鍵マーク(通信の暗号化)

最初の確認は、相談フォームのページを開いたときに、アドレス欄に鍵マークが付いているかどうかです。鍵マークは、相談者の方の画面とホームページの間の通信が暗号化されている印です。アドレスが「https://」で始まっていれば、鍵マークが付いている状態です。

トップページには鍵マークが付いているのに、相談フォームのページだけ別の仕組みで作られていて付いていない、という例もあります。また、鍵マークの証明書には期限があり、更新が止まるとブラウザに警告が出ます。相談しようとした方が「保護されていない通信」という表示を見たら、そこで送信をやめてしまうでしょう。鍵マークの警告については「保護されていない通信」と出る事務所のホームページで詳しく説明しています。

事務員さんにお願いできる確認

パソコンとスマートフォンの両方で相談フォームのページを開き、アドレス欄に鍵マークがあるか、警告が出ていないかを見てもらいましょう。月に一度、送信テストと一緒に行うと習慣になります。

確認ポイント2と3:サーバーの控えと、送信先のメール

次に、サーバーの中に相談内容の控えが残る設定かどうかを確かめます。控えが残る仕組みは、メールが届かなかったときの保険になる一方で、ホームページが乗っ取られた場合には、過去の相談内容がまとめて見られてしまうおそれもあります。

  • 控えがサーバーに残る設定になっているか
  • 残る場合、どのくらいの期間分がたまっているか
  • 管理画面に入れる人は誰か(制作会社の担当者も含めて)
  • 控えを定期的に消す運用があるか

送信先のメールについては、受付用のアドレスが所長個人の私用アドレスになっていないか、退職者のアドレスが残っていないか、外部の無料メールに自動転送していないかを確認します。共有の受付アドレスを1つ作り、そこを見られる人を決めておくと、誰が相談内容を読めるのかが明確になります。

見る場所確かめることよくある見落とし
ホームページの管理画面フォームの控えが一覧で残っていないか数年分の相談内容がたまったまま
フォームの設定送信先のアドレスは誰のものか退職した事務員さんのアドレスが残っている
メールの設定自動転送の設定がないか所長の私用アドレスへの転送が続いている
自動返信メール相談内容の全文を返していないか入力内容をそのまま相談者に送り返している

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確認ポイント4:そもそも何を書いてもらうか

守秘の不安を減らすいちばん確実な方法は、フォームでは必要以上に詳しい内容を受け取らないことです。初回のフォームは「ご相談の入り口」と割り切り、詳しい事情は面談や電話で伺う流れにすると、ホームページを通る情報そのものが少なくなります。

たとえば税理士事務所なら「相続」「法人の顧問」「確定申告」などの相談分野を選んでもらい、自由記入欄には概要だけを書いてもらう。社労士事務所なら、障害年金の相談で病名や症状を詳しく書かなくても予約ができるようにする。行政書士事務所なら、在留カードの番号や許可証の画像をフォームで送ってもらわない。こうした工夫で、フォームが抱える情報の重さが変わります。

  • マイナンバーや口座番号、在留カードの番号はフォームで受け取らない旨を書いておく
  • 病名・症状など心身の状態にかかわることは、面談で伺うと案内する
  • ファイルの添付欄は、本当に必要な場合だけ置く
  • 入力欄の下に「詳しい事情はご面談でお伺いします」と添える

心身の状態にかかわる情報は、個人情報保護法でいう「要配慮個人情報」にあたります。漏れた場合は件数に関係なく個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要とされています。詳しくは個人情報保護委員会の案内をご確認ください。また、守秘や個人情報の扱いをホームページにどう書くかは、所属会の決まりもあわせてご確認いただくのが安心です。

フォームの守りを続けるために

相談フォームは、一度設定すれば終わりではありません。ホームページの土台や部品が古くなれば弱点が生まれ、事務員さんが替われば送信先も変わります。年に一度は、この記事の4つのポイントを見直すことをおすすめします。フォームからメールが届かなくなったときの確認手順は相談フォームからメールが届かない時の確認手順にまとめています。

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よくあるご質問

鍵マークが付いていれば、相談フォームは安全と言えますか?

鍵マークは、送信の途中の通信が暗号化されている印です。サーバーの中に控えが残っていないか、送信先のメールを誰が読めるかは別に確かめる必要があります。

相談フォームをやめて、電話だけにしたほうがよいでしょうか?

フォームは夜間や休日に相談したい方の大切な入り口です。やめるよりも、受け取る内容を絞り、控えや送信先を整えるほうが現実的です。

フォームの控えがサーバーに残っているか、どう確かめればよいですか?

WordPressの管理画面に「お問い合わせ」などの一覧があるかを見るか、制作会社に「フォームの送信内容をサーバーに保存していますか」と聞いてみてください。

守秘についてホームページに書く内容に決まりはありますか?

書き方の決まりや広告にかかわる扱いは、所属会ごとに定めがある場合があります。表現に迷うときは、所属の税理士会・社会保険労務士会・行政書士会にご確認ください。

この記事は、税理士・社労士・行政書士事務所のホームページの見守りと相談を担当する「HPドクター」編集部がまとめました。