セキュリティ・弱点
顧問先との書類のやり取りをホームページで行うときの注意点|様式ダウンロード・アップロード機能
「顧問先専用ページから、年末調整の様式をダウンロードしてください」「給与の資料は、こちらのアップロード画面から送ってください」。ホームページを顧問先との書類のやり取りに使っている事務所は少なくありません。便利な一方で、顧問先の売上や従業員の個人情報、家族の状況など、事務所にとってもっとも重い情報が行き来する場所でもあります。この記事では、そうしたページを安全に使い続けるための確認ポイントを整理します。
ホームページでのやり取りは、3つの形に分かれる
顧問先との書類のやり取りにホームページを使う形は、事務所によってさまざまですが、おおむね次の3つに分けられます。形によって、気をつけることが違います。
| 形 | 例 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 事務所から渡す(ダウンロード) | 年末調整の様式、入社手続きの書類一覧、記入例 | 顧問先以外の人にも見えてよい内容かどうか |
| 顧問先から受け取る(アップロード) | 給与データ、領収書の写真、許可申請の添付書類 | 送られたファイルがどこに残り、誰が見られるか |
| 顧問先専用のページ | 合言葉で入るページ、顧問先ごとの資料置き場 | 合言葉や入口の管理、退会した顧問先の扱い |
このうち、もっとも慎重に扱いたいのは「受け取る」形です。給与の資料には従業員のマイナンバーや扶養家族の情報が、許認可の添付書類には役員の住民票や在留カードの写しが含まれることがあります。こうしたファイルがホームページのサーバーに置かれたままになると、ホームページが乗っ取られたときにまとめて持ち出されるおそれがあります。
「誰でも見られる状態」になっていないか確かめる
よく伺うのが、顧問先にだけ案内しているつもりのページが、実は誰でも開ける状態になっていた、というお話です。ページの住所(アドレス)を知っていれば開ける、検索結果に出てきてしまう、といった状態です。
- 顧問先向けの様式のページが、事務所名で検索したときに検索結果に出てこないか
- アップロードされたファイルの住所を直接入れると、合言葉なしで開けてしまわないか
- PDFの様式の中に、特定の顧問先の名前や記入済みの情報が残っていないか
- 古い年度の様式や案内が、更新されないまま置かれていないか
ダウンロード用の様式は、誰に見られても困らない内容に限るのが基本です。記入例を作るときは、架空の名前と数字を使い、実在する顧問先の情報が混ざらないよう気をつけましょう。古い様式が残っていると、顧問先が誤って前年の様式を使ってしまうこともあります。
確かめ方のヒント
事務所のパソコンではなく、ログインしていない別のスマートフォンなどから、顧問先向けページの住所を開いてみてください。合言葉の入力なしで中身が見えたら、制作会社に設定を確認してもらいましょう。
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アップロード機能を使うときの確認ポイント
ホームページにアップロードの機能を付けている場合は、次の点を制作会社と一緒に確かめておくと安心です。
- 送られたファイルの保存場所を知るファイルがホームページのサーバーに保存されるのか、メールに添付されて届くのか、外部の保管サービスに送られるのかを確かめます。
- 保存期間を決める事務所のパソコンに取り込んだら、サーバー側のファイルは消す、という決まりを作ります。何年分もたまったままにしないことが大切です。
- 送れるファイルの種類を絞るPDFや画像など、必要な種類だけを受け付ける設定にしてもらいます。種類を絞らないと、不審なファイルを置かれる入口になることがあります。
- 受け取り後の連絡を決める顧問先に「受け取りました」と伝える方法を決めておくと、送り直しや二重送信を防げます。
顧問先とのやり取りが多い事務所では、ホームページのアップロード機能にこだわらず、事務所として契約した保管サービスや、会計・給与の仕組みに備わった共有機能を使うほうが管理しやすい場合もあります。どの方法を選ぶ場合でも、「どこに残るか」「誰が見られるか」「いつ消すか」の3点を決めておくことが基本です。
社労士事務所であれば、従業員の入退社や給与の資料、健康診断にかかわる書類など、顧問先から受け取る情報の中に心身の状態にかかわるものが含まれることもあります。税理士事務所であれば、決算書や通帳の写し、行政書士事務所であれば、役員の身分証明書や在留カードの写しなどです。どれも、顧問先が事務所を信頼して預けているものです。受け取る仕組みを選ぶときは、便利さだけでなく、こうした書類が届いたあとにどこに残るのかを確かめてください。
顧問先専用ページの合言葉と、契約が終わった顧問先
合言葉で入る顧問先専用のページを作っている場合は、合言葉の管理が要になります。全顧問先で同じ合言葉を何年も使い続けていると、契約が終わった顧問先や、顧問先を退職した担当者もそのまま入れてしまいます。
- 合言葉を年に一度など、時期を決めて変えているか
- 契約が終わった顧問先の資料や入口を片付けているか
- 顧問先ごとに資料を分けている場合、他の顧問先の資料が見えない設定か
- 合言葉を顧問先に知らせる方法が、メール本文の書きっぱなしになっていないか
管理画面に入れる事務所側のアカウントの整理も同じくらい大切です。事務員さんが替わったときの引き継ぎ方は事務員さんの交代・退職時に、ホームページの管理アカウントをどう引き継ぐかをご覧ください。
万一のときに備えて
顧問先から預かった書類が漏れたおそれがあるときは、顧問先への連絡や、個人情報保護委員会への報告が必要になることがあります。心身の状態にかかわる情報などの要配慮個人情報が漏れた場合は、件数に関係なく報告と本人への通知が必要とされています。それ以外の個人情報も、件数や内容によっては必要になります。詳しくは個人情報保護委員会の案内をご確認ください。ホームページに異常が見つかったときの初動は事務所のホームページが改ざん・乗っ取りにあった時の対応でまとめています。
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様式のダウンロードページは、顧問先以外の人に見られても問題ありませんか?
誰に見られても困らない白紙の様式や一般的な案内であれば、大きな問題はありません。記入済みのものや特定の顧問先の情報が混ざっていないかは、置く前に確かめてください。
顧問先からマイナンバーの書類を受け取るのに、ホームページを使ってもよいですか?
マイナンバーは扱いに特に注意が必要な情報です。受け取り方は事務所の安全管理の方針や、会計・給与の仕組みの機能とあわせて決めることをおすすめします。ホームページのサーバーに置いたままにしない運用は欠かせません。
アップロードされたファイルは、いつ消せばよいですか?
事務所のパソコンや保管場所に取り込んだら、サーバー側のファイルは早めに消すのが基本です。保存期間を決めて、事務員さんの定例の作業に入れておくと続けやすくなります。
合言葉付きのページなら安全と言えますか?
合言葉は入口の鍵のようなものですが、長く同じものを使っていたり、ファイルの住所を直接入れると開けてしまったりすると十分ではありません。合言葉の変更と、直接開けないかの確認をあわせて行ってください。
この記事は、税理士・社労士・行政書士事務所のホームページの見守りと相談を担当する「HPドクター」編集部がまとめました。

