セキュリティ・弱点
事務所の名前をかたるなりすましメールが届いたら|ドメインの設定と顧問先への案内
顧問先から「先生の事務所から、請求書の振込先が変わったというメールが来たのですが、本当ですか」と電話があった。調べてみると、事務所ではそんなメールは送っていない。事務所の名前やメールアドレスに似せた「なりすましメール」は、士業事務所にとっても他人事ではありません。顧問先との信頼で成り立つ仕事だからこそ、名前を悪用されたときの対応と、日ごろの備えを知っておきたいところです。この記事では、その両方をお伝えします。
なりすましメールとは:事務所の「差出人」を偽ったメール
メールの差出人の名前やアドレスは、残念ながら手紙の差出人欄と同じように、送る側が自由に書けてしまう仕組みになっています。そのため、事務所の名前や、事務所のアドレスによく似た差出人で、顧問先や相談者の方にメールが送られることがあります。
- 「振込先の口座が変わりました」と、事務所の報酬の振込先を変えさせようとする
- 「確定申告の書類を確認してください」と、添付ファイルや不審なページを開かせようとする
- 「マイナンバーの再提出をお願いします」と、個人情報を送らせようとする
- 「年度更新の手続きが未完了です」と、急がせて判断を誤らせようとする
士業事務所の名前は、顧問先にとって「信頼できる送り主」です。それだけに、なりすましに使われると被害につながりやすく、事務所の信用にも影響します。事務所のホームページとメールが同じドメイン(住所)を使っている場合、その住所の設定を整えておくことが、なりすましを見分けてもらう手がかりになります。
顧問先から「怪しいメールが来た」と言われたときの対応
まずは落ち着いて、次の順番で対応します。大切なのは、顧問先に被害が広がらないよう、早めに正しい情報を届けることです。
- 顧問先にメールを開かない・返信しないよう伝える添付ファイルやメール内のリンクは開かず、振込や情報の送付もしないようお願いします。届いたメールは削除せず、そのまま残しておいてもらいます。
- 届いたメールの差出人と内容を確かめる差出人のアドレスが事務所のものと一文字違う、見慣れない無料メールのアドレスになっている、などを確認します。顧問先に画面の写真を送ってもらうと確かめやすくなります。
- 事務所のメールが乗っ取られていないか確かめる事務所のメールの送信済みフォルダに、身に覚えのないメールがないか確認します。ある場合は、パスワードの変更とメールの管理者への相談を急ぎます。
- 顧問先全体にお知らせするほかの顧問先にも届いている可能性があるため、事務所の正式な連絡手段で注意を呼びかけます。ホームページのお知らせ欄にも載せておくと、検索した方にも伝わります。
お知らせ文の例
当事務所の名前をかたった不審なメールが確認されています。当事務所からメールで振込先の変更をお願いすることはありません。心当たりのないメールの添付ファイルやリンクは開かず、お手数ですが当事務所までお電話でご確認ください。
貴事務所のホームページは大丈夫?
アドレスを入れるだけで、ニュースになった弱点に当てはまりそうか・鍵マークは大丈夫かなどを約10秒で自動診断します。
日ごろの備え:ドメインに「送信元の証明」を設定する
なりすましを完全に防ぐことは難しいのですが、事務所のドメインに「このアドレスからのメールは、この送り口から出したものです」と証明する設定を入れておくと、受け取る側のメールの仕組みが偽物を見分けやすくなります。代表的なものは次の3つです。
| 設定の名前 | やさしく言うと | 主に設定する人 |
|---|---|---|
| SPF | 事務所のメールを送ってよい送り口の一覧を公開する | ドメインやメールの管理者・制作会社 |
| DKIM | 送ったメールに、事務所の電子的な印鑑を押す | メールの管理者・制作会社 |
| DMARC | 印鑑や一覧と合わないメールをどう扱ってほしいか、受け取り側に伝える | ドメインの管理者・制作会社 |
どれも事務所の側で画面を操作するというより、ドメインやメールを管理している制作会社・サーバー会社にお願いして設定してもらうものです。設定の順番や、どこまで厳しくするかは、事務所のメールの使い方によって変わります。たとえば、ホームページの相談フォームが事務所のアドレスを差出人にして自動返信メールを送っている場合、その送り口も一覧に入れておかないと、自動返信が届かなくなることがあります。
制作会社には「事務所のドメインに、SPF・DKIM・DMARCの設定が入っているか確認してください。入っていなければ、設定の方法と費用を教えてください」と伝えれば話が通じます。
顧問先と決めておきたい「確かめ方」
技術的な設定と同じくらい大切なのが、顧問先との間で「こういう連絡はメールではしない」と決めておくことです。決まりがあれば、なりすましメールが届いても顧問先が気づきやすくなります。
- 報酬の振込先の変更は、メールだけで知らせない(書面や電話でも伝える)
- マイナンバーなどの重要な情報を、メールの返信で求めない
- 急ぎの手続きを求めるときは、担当者から電話でも一言伝える
- 不審に思ったら事務所の代表電話で確かめてほしいと、日ごろから伝えておく
こうした決まりは、顧問契約のときの案内や、ホームページの顧問先向けページに載せておくと伝わりやすくなります。顧問先向けページの扱いは顧問先との書類のやり取りをホームページで行うときの注意点でまとめています。
メールとホームページは同じ「住所」でつながっている
事務所のメールアドレスとホームページは、多くの場合、同じドメインを使っています。ドメインの更新が止まればメールもホームページも止まり、ドメインの設定が古ければなりすましにも使われやすくなります。ドメインの管理者が誰か分からない場合は、まずそこを確かめることから始めてください。更新切れの対処はドメイン・サーバーの更新を忘れてホームページとメールが止まった時をご覧ください。
HPドクターのAIみまもり+AIチャット(AI相談プラン)は、月額1,500円・14日間無料です。週3回(月・水・金)貴事務所のサイトを診断し、変化があった時だけお知らせします。メールの設定のことで分からない点も、AIにその場で相談できます。人に相談したい場合は、月額20,000円・50,000円(税別)の助言プランがあり、作業が必要なときは別途お見積もりします。今の制作会社との契約はそのままでかまいません。
まずは無料の自動診断で、ホームページの状態を確かめてみてください。継続して見守りを試したい方は14日間無料のAIみまもりからお申し込みいただけます。
まずは14日間、AIに見守らせてください
今の制作会社との契約はそのままで、貴事務所のサイトをAIが週3回診断し、変化があった時だけお知らせします。人に相談したい方は、無料で担当者にご相談いただけます。
14日間無料で始める まずは人に相談するよくあるご質問
なりすましメールが送られたのは、事務所のホームページに問題があったからですか?
差出人を偽ること自体は、事務所のホームページやメールが乗っ取られていなくてもできてしまいます。ただし、事務所のメールが乗っ取られている場合もあるため、送信済みフォルダの確認はしておきましょう。
SPFなどの設定をすれば、なりすましメールは届かなくなりますか?
受け取る側が偽物を見分けやすくなりますが、すべてを防げるわけではありません。似たアドレスを使ったなりすましもあるため、顧問先との確かめ方の決まりとあわせて備えてください。
設定をしたら、事務所のメールが届かなくなることはありますか?
相談フォームの自動返信など、普段と違う送り口から送っているメールを一覧に入れ忘れると、届きにくくなることがあります。設定は制作会社やメールの管理者と相談しながら段階的に進めてください。
顧問先が振込をしてしまった場合はどうすればよいですか?
すぐに振込先の金融機関と警察に相談するよう顧問先にお伝えください。事務所としても経緯を記録し、ほかの顧問先への注意喚起を急ぎましょう。
この記事は、税理士・社労士・行政書士事務所のホームページの見守りと相談を担当する「HPドクター」編集部がまとめました。

