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お客様の声や顧問先のロゴを載せるとき|士業事務所が守秘と同意で確かめること

公開 2026年10月23日 約5分で読めます

「顧問先の社長が喜んでくださったので、ホームページにお客様の声として載せたい」「取引先のロゴを並べて実績を見せたい」。事務所のホームページを充実させようとすると、こうしたご相談が出てきます。お客様の声や顧問先の名前は、相談者の方にとって事務所を選ぶ参考になります。一方で、士業の事務所には顧問先の情報を守る立場があります。この記事では、守秘と同意の観点から、お客様の声やロゴを載せる前に確かめておきたいことをお伝えします。

士業の事務所では「誰が顧問先か」も守る情報

一般の会社のホームページでは、取引先のロゴを並べたり、お客様の声を載せたりすることがよくあります。ところが、士業の事務所の場合は少し事情が違います。税務、労務、許認可の相談をしていること自体が、顧問先にとって知られたくない情報であることがあるからです。

たとえば、ある会社が特定の税理士事務所と顧問契約を結んでいることや、ある方が相続の相談をしたこと、ある会社が労務の問題で社労士に相談したことは、それだけで外の人にさまざまな推測をさせます。士業の資格者には守秘の義務があり、どこまでが守るべき情報かは、ふだんの業務と同じように慎重に考える必要があります。

この記事の立場

守秘の義務の範囲や、お客様の声の扱いに関する決まりは、資格や所属会によって異なります。この記事では一般的な考え方をお伝えし、個別の判断は所属会にご確認いただくことをおすすめしています。

載せる前に確かめたい3つのこと

お客様の声や顧問先の名前・ロゴを載せる前に、次の3つを順に確かめると、判断がしやすくなります。

お客様の声や顧問先のロゴを載せる前の確認として、本人から書面で同意を得たか、名前を伏せても内容から特定されないか、取引が終わったときや同意を取り下げたいときの扱いを決めたかの3つを順に確かめ、3つがそろってから掲載することを示した図
同意・特定されないか・終わったときの扱い、の3つを確かめる
確かめること具体的には見落としやすい点
本人の同意載せる内容・場所・期間を示して、書面やメールで同意をもらう口頭の「いいですよ」だけで済ませてしまう
特定されないか名前を伏せても、業種・地域・規模・相談内容から分からないか「市内の建設業A社」で分かってしまう
終わったときの扱い顧問契約が終わったとき、同意を取り下げたいときにどうするか契約終了後も載ったままになる

特に見落としやすいのが、名前を伏せた場合です。地域が狭く、業種も限られていると、「市内の〇〇業、従業員〇名の会社」と書くだけで、どこの会社か分かってしまうことがあります。相談の内容まで書くと、その会社が何に困っていたかまで伝わってしまいます。

また、お客様の声を載せたいと考えるきっかけの多くは、「事務所の良さを相談者の方に伝えたい」という思いです。その目的は、お客様の声でなくても果たせることがあります。たとえば、相談から依頼までの流れ、初回の面談で伺うこと、よくある相談の種類などを丁寧に書くだけでも、事務所の雰囲気や仕事の進め方は十分に伝わります。顧問先の情報に触れずに済む方法から考えてみるのも一つの選び方です。

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同意の取り方と、載せる内容の決め方

同意をもらうときは、「ホームページに声を載せてもいいですか」と聞くだけでなく、実際に載せる文章と場所を見せて確かめてもらうのが丁寧です。次の手順で進めると、あとで行き違いが起きにくくなります。

  1. 載せる文章を下書きする顧問先の言葉をもとに、事務所で文章を整えます。相談内容の具体的な部分は省きます。
  2. 名前の出し方を選んでもらう会社名を出すか、業種と地域だけにするか、まったく出さないかを顧問先に選んでもらいます。
  3. 文章と場所を見せて同意をもらう載せる文章、載せるページ、載せる期間をまとめて示し、書面やメールで同意をもらいます。
  4. 同意の記録を残す同意をもらった日と内容を、顧問先ごとの記録に残しておきます。
  5. 取り下げの方法を伝えておく「いつでも取り下げられます」と伝え、連絡先を示しておきます。

ロゴを並べる場合も、同じように一社ずつ同意をもらいます。ロゴは会社のものなので、使い方に決まりを設けている会社もあります。並べ方や大きさについても確かめておくと安心です。

表現と、取引が終わったときの扱い

お客様の声は、表現の面でも気をつけたいところです。「この事務所に頼んで税金がこれだけ安くなった」「許可が確実に取れた」といった、結果を約束するように読める声は、相談者の方に誤解を与えるおそれがあります。所属会の広告に関する決まりとも関わることがあるため、迷う表現は所属会にご確認ください。考え方は士業のホームページと広告の決まりでまとめています。

取引が終わったときの扱いも、事前に決めておきましょう。顧問契約が終わったあとも声やロゴが載ったままだと、今も顧問先であるかのような誤解を招きます。また、元の顧問先にとって、関係が終わった事務所に名前が載っているのは気持ちのよいものではありません。

  • 顧問契約の終了の手続きに「ホームページの掲載の取り下げ」を入れておく
  • 年に一度、掲載している声とロゴの一覧を見直す
  • 取り下げたら、画像やPDFに残っていないかも確かめる
  • 検索結果に古い内容が残る場合があることを、顧問先に伝えておく

同意をもらった内容は、顧問先ごとの記録とは別に、「ホームページに載せているもの」の一覧にもまとめておくと便利です。載せている場所、同意をもらった日、取り下げの申し出の有無を一覧で見られるようにしておけば、年に一度の見直しや、顧問契約が終わったときの取り下げが漏れにくくなります。事務員さんが替わっても、一覧を見れば状況が分かります。

載せたあとも、ホームページ全体の守りを確かめる

お客様の声やロゴは、事務所が顧問先から預かった信頼の表れです。その信頼を載せているホームページが、外部から書き換えられてしまうと、顧問先にも迷惑がかかります。ホームページの土台の手入れも、守秘と同じように大切です。

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よくあるご質問

顧問先の名前を出さなければ、同意はいりませんか?

名前を伏せても、業種・地域・規模・相談内容から特定されてしまうことがあります。名前を出さない場合でも、載せる内容を見せて同意をもらっておくのが安心です。

口頭で「載せていいよ」と言われました。それで十分ですか?

あとで行き違いが起きないよう、載せる文章・場所・期間を示して、書面やメールで同意をもらっておくことをおすすめします。同意をもらった日と内容も記録しておきましょう。

顧問契約が終わった会社のロゴはどうすればよいですか?

契約の終了にあわせて取り下げるのが基本です。顧問契約の終了の手続きに、ホームページの掲載の取り下げを入れておくと漏れを防げます。

お客様の声の内容を事務所で書き直してもよいですか?

読みやすく整えることはありますが、本人の言葉の意味を変えないことが大切です。書き直した文章は、載せる前に本人に確かめてもらってください。

名前を出さない「事例紹介」なら問題ありませんか?

名前を伏せても、業種・地域・規模・相談内容の組み合わせで顧問先が分かってしまうことがあります。事例として載せる場合も、特定されない程度まで内容をぼかし、迷う場合は本人の同意をもらってください。扱いについて所属会の決まりがある場合もあるので、あわせてご確認ください。

この記事は、税理士・社労士・行政書士事務所のホームページの見守りと相談を担当する「HPドクター」編集部がまとめました。